金沢２１世紀美術館で開かれている「培広庵（ばいこうあん）コレクション美人画の雪月花」（北國新聞社、一般財団法人石川県芸術文化協会主催）は３連休初日の８日、夫婦や仲間で連れ立って鑑賞する地元客でにぎわった。金沢市の県立美術館で開催中の「没後３５年鴨居玲展―静止した刻（とき）」（本社共催）と併せて訪れる愛好者も多く、ふるさとの両美術館で美との「出会い」に心を潤した。
２１美では美人画の黄金期を築いた作家５４人の秀作７８点が、日本の四季を伝えた。女性グループや夫婦の来館者が目立ち、見た目だけでなく、内からあふれる美しさまでも感じ取ろうと、着物の柄や軸装の細部まで目を凝らしていた。
加賀市の出嶋和枝さん（７０）は「美人画が好きで、いろんな美術館を巡っている。土曜日だし混んでいるかと心配だったが、じっくり一つ一つの作品を鑑賞した。軸の表装もすてき」と笑顔を見せた。
小松市から娘と２人で訪れた中口美津子さん（７４）は「新聞の作品紹介で『安倍野』を知って、ぜひ本物を鑑賞したいと思っていた。入ってすぐに展示されていて、心ゆくまで見入った」と満足げな表情を浮かべた。
金沢市出身の洋画家鴨居玲の代表作約１００点が並ぶ県立美術館も来館者が途切れなかった。
深い色味のある「黒」を用いた自画像をはじめ、鮮烈な赤が印象的な「出を待つ（道化師）」、寒色で、宙に浮き、十字架の影を落とす教会を描いた連作などが並び、没後３５年を迎えた異才の作品に時間を掛けて見入る友人連れや愛好者の姿が見られた。
同市の会社員畠山康平さん（２９）は「目の覚めるような赤や、透き通るような青など、色の使い方が印象的だった。一作品ごと、鴨居が何を伝えようとしていたのか考えながら鑑賞した」と語った。
いずれの展覧会も３０日まで。入場料は美人画展が一般１２００円、中高生８００円、小学生６００円。鴨居玲展は一般１千円、大学生８００円、高校生以下無料となる。
北國新聞社
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August 08, 2020 at 01:02PM
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