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コロナ延期はスポーツだけじゃない 移植手術を待つ人たちの不安 - 読売新聞

 恐怖心を超えて、憎しみすら覚えるようになった新型コロナ。「腎移植の手術が延期になった。コロナの影響なので、いつできるのか、めどが立たず不安」といった患者のツイートも、たびたび目にするようになった。

 2年前に腎移植を経験した私は、まだ古くない記憶を呼び起こし、患者さんの胸中を (おも) った。一つひとつ、慎重に立て続けてきたドミノが、ゴール直前で雪崩をうって倒れてしまうような感覚ではなかろうか。

白血球の相性を調べるだけで1か月

コロナ延期はスポーツだけじゃない 移植手術を待つ人たちの不安

3D―CT検査で映し出された夫の腎臓。左の腎臓を移植することとなった。

 健康な人から腎臓を提供してもらう「生体腎移植」は、計画的に行うことで、手術前の患者の全身の状態を精査し、管理することができる待機手術だ。緊急手術とは異なり、医療機関には、感染のリスクが軽減するまでは慎重な対応が求められる。そもそも、腎移植ができる病院は限られており、数か月先まで手術の予定が組まれているところがほとんどだ。腎臓をくれるドナーがいるからといって、「では、来週手術を」とはいかない。長い準備をしてきたからこそ、手術を延期された患者の落胆と不安は計り知れない。

 腎移植を希望する患者は、コツコツとドミノを立てていく必要がある。その一枚目は、ドナーとレシピエント(臓器受容者)の相性をみるクロスマッチングテストだ。白血球の相性を調べる血液検査で、結果が出るのに1か月ほどかかる。楽しい1か月ならあっという間だが、モヤモヤを抱えながら、ただ待つことしかできない1か月は、途方もなく長く感じられる。

 そのせいか、私が、主治医である東京女子医大病院の石田英樹先生から、「お二人の相性はバッチリです」とお墨付きをもらった時は、ほっとすると同時に、どっと疲れが出た。

 しかし、その 安堵(あんど) 感は、すぐに緊張に変わった。石田先生が、すぐに手術日を決めてくれたからだ。「もろずみ夫妻の手術日は2018年3月23日にしましょう」。先生が、黒革の手帳に「もろずみ」と書くのを見て、一気に緊張感が高まる。それまでの私は、腎移植をどこか、遠い世界のことのように思っていたのだろう。「いつ」が確定して初めて、現実味を帯びてきたのだ。

ドナーもレシピエントも膨大な検査を重ね

 以後、約半年をかけ、私と夫はドミノを立て続けた。血液検査、尿検査、肺と心臓の機能検査など、どれも決して倒してはならないドミノだった。加えて、ドナーの夫は、がん検査、3D―CT検査(腎臓を立体的に撮影して、左右、どちらの腎臓を提供すべきか検討する)を受けた。臓器提供が本人の意思によるものなのかを調べるため、精神科にもかかった。

 検査のたびに、夫は仕事を休んでくれた。夫は30代の働き盛り。検査を終えた夕方から出社して、やっとこさ、仕事をこなす日もあった。夫に大きな負荷をかけるのが心苦しく、何度も話し合った。どんなに小さいことも口に出して、不安要素を一つずつ解消していくことも、腎移植を健全に行うための大切なプロセスだった。

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May 28, 2020 at 03:21AM
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