
多くの当事者が声を上げられないまま、取り残されかねない状況だ。被害救済を見かけだけで終わらせないよう、制度のあり方を見直さなくてはならない。
一つは当事者への通知だ。周囲に知られたくない人への配慮などを理由に、国は通知を不要としつつ、都道府県の判断に委ねた。手術記録などから個人が特定できる場合に、個別に知らせているのは鳥取、兵庫など4県にすぎない。長野県も通知していない。
当事者の中には、手術を受けたことを知らない人が少なくない。「悪いところを取ると言われた」といった証言もある。旧法下、政府は手術件数を増やそうと、本人をだますことも認めていた。
家族が、手術を受けさせた負い目を引きずり、本人に明かさないまま亡くなっている場合もある。通知がなければ、埋もれてしまう被害者がいる。
国だけでなく、優生政策を実質的に担った都道府県にも被害回復に取り組む責任がある。4県の取り組みも参考に、プライバシーに十分配慮しつつ本人に知らせる手だてを考えるべきだ。
申請を本人がすること、期限を5年と区切ったことも壁になる。障害のために手続きが難しい人が多いほか、社会に根強く残る偏見や差別が、申し出をためらわせている現実がある。
「不良な子孫」の出生防止を目的とする旧法は戦後の1948年に議員立法で成立し、優生手術は40年余にわたって行われた。政府の統計に残る限りで2万5千人近くが手術を受けている。
子どもを産み育てる権利を奪う重大な人権侵害である。にもかかわらず、96年に法が改定された後も、政府は20年以上、謝罪や補償に一切応じてこなかった。被害実態の調査もしていない。
国会が動き、救済に道が開いたことは前進だが、期限内に自己申告できない被害者を切り捨てるような仕組みは改めなくてはならない。一時金も320万円にとどまり、被害の実態に見合わない。
後遺障害に苦しんできた人もいる。継続的な補償をするのが本来だ。被害の全容を把握するための調査と優生政策の検証も欠かせない。負の歴史に向き合って被害者の尊厳を回復し、補償することは国会、政府の責務である。
(4月27日)
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April 27, 2020 at 07:12AM
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社説 優生手術の救済 被害者置き去りにするな - 信濃毎日新聞
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