手術器具にコード、管理集約 福井大病院開発 - 中日新聞

手術器具に刻印された２次元コード＝永平寺町の福井大病院で

　福井大病院（永平寺町）が開発し、二〇一四年に導入した医療器具「総合滅菌管理システム」が、手術の安全性向上や看護師らの業務改善などに貢献している。社会貢献が期待されるモバイルシステムの導入などの事例を顕彰する「ＭＣＰＣ　ａｗａｒｄ（アワード）２０１９」で総務大臣賞を獲得するなど、成果が全国的に評価された。

　システムは、メスやピンセット、はさみなどの手術器具一つ一つに二次元コードをレーザーで刻印して識別し、利用状況をリアルタイムに集約管理する。手術で器具を体内に残したり、器具を介して感染症が拡大したりするリスクを減らす効果がある。

　手術で使う器具の滅菌や準備は、同病院滅菌管理部が担う。システム導入前は、写真資料を基に目視で確認しながら手術ごとに器具を準備していた。器具の名前や形状の違いなどを見分けられる熟練者に負担がかかるなど、業務の内容や量に偏りがあったという。他部門の看護師らの応援も得て作業していた。

　システム導入に伴い、一年間の手術件数は導入前の一三年より二割増となったが、器具を見分ける時間などが省け、作業効率は向上。他部門からの応援も回避でき、滅菌部門全体の総残業時間は一四年のピーク時より八割以上削減された。手術ごとに用意する器具の組み立て作業のミスも九割以上の大幅減となった。

　こうした成果が評価され、ＭＣＰＣアワードでは総務大臣賞のほかに二賞を受賞。日本看護協会の「看護業務の効率化　先進事例アワード」でも特別賞に輝いた。

　二十日に福井大病院で、手術部の小久保安朗准教授ら三人がシステム導入による成果などを説明した。小久保准教授は「まずはシステムを知ってもらいたい。業務を改善すると、人件費も減る。安全にも貢献できることを分かってもらいたい」と広がりに期待した。

　（清兼千鶴）

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January 21, 2020 at 03:10AM
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