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80歳が100歳を手術する時代でも、「蛍光色素」が未来を照らす!(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

---------- 患者さんのために、そして医師自身のために、コンフォタブル(快適)な手術を。現在、安心・確実な手術が、かつてないほど求められている。 【写真】「死ぬのが怖い」人に贈る七つの対処法 少子高齢化の日本の医療を救う新技術について、兵庫医科大学波多野悦朗教授に話をうかがった。 ----------

生存率が低い肝臓、胆のう、膵臓のがん

 肝臓、胆のう、膵臓。この3つの臓器のがんは、やっかいなことで知られる。  がんと診断されてから5年後、どれだけ生存しているかを他のがんと比べると、大腸がんは60%、乳がんは90%を超えるのに対し、肝臓がん、胆がん、膵がんはいずれも10~20%と著しく低い。  内視鏡などで見ることが難しいため発見が遅れがちで、とくに肝臓は血管が入り組んで手術も極めて難しい。さらに、他のがんと比べて有効な抗がん剤が少ない。  「肝臓がん、胆がん、膵がんで亡くなる方を合計すると、肺がんを抜いてもっとも多くなる。それだけに、なんとかしないといけないという思いは強いのです」と話すのは、兵庫医科大学の波多野悦朗主任教授。消化器外科学講座肝胆膵外科に所属し、肝疾患センターの副センター長も務める。  3つの臓器のなかでも、とりわけ外科医が神経を使うのは肝臓がんの手術だ。肝臓は沈黙の臓器といわれる。再生能力が高く、肝炎などの障害があっても機能を維持できるからだ。  健康体であれば、肝臓は8割を切除しても、2割が残っていれば再生して、元どおりの機能を発揮できるようになる。しかし、肝臓がんの患者さんの肝臓は、肝炎などによって全体が傷んでいることが多く、20%を切除しただけでも、肝臓は機能を失って、肝不全となることもある。  肝臓がどれくらい障害を受けているかによって、切除できる範囲は決まっており、どれくらい正確にがんを切除できるか、逆にいえば、どれくらい健康な肝臓を残せるかが、手術の成否を分ける。

腫瘍部をリアルタイムでわかるように

 そこで、この10年ほどで急速に進化したのが、がん手術の3Dシミュレーションだ。CTのデータから再構成した画像で、どこにがんがあるかを特定し、どれくらい肝臓を残せるか、どの血管を処理するかを手術前に徹底的にシミュレーションする。  主要な病院施設にはあらかたこのシステムが採用されており、保険加算もされるので、広く普及している。  「でも、これはあくまでもシミュレーションに過ぎないのです。実際の手術時に、肝臓の中の血管が見えるわけではない。『ここで切ったら60%残せます』とは誰も教えてはくれない。何か目印をつくっておいて、正確に切っていくしかない。安心・確実という点では、まだ不安が残るのです」  そこで期待を寄せるのが、蛍光ナビゲーション・サージェリーという新技術だ。  手術の数日前に蛍光色素を肝臓に注入する。色素は肝臓の細胞にいったん取り込まれるが、正常な細胞からは胆汁としてすぐに排出されていく。  一方、腫瘍部は色素が排泄されにくくなっているために、そこだけ色素が残る。これに比較的波長が短く目に見えない近赤外光を当てると、肉眼では見えないが、モニター上ではくっきりと緑色に映し出される。執刀医は、手術中にその画面を見ることで、病変部を確認し、正確に切除できるのだ。  「リアルタイムで患部を見極めることができるうえに、術前には見つけられなかった腫瘍を見つけることもできる。なによりも誰が見ても、そこががんだとわかる。このインパクトは大きい」  と波多野教授もその可能性を高く評価する。島津製作所も近赤外光カメラシステムLIGHTVISIONをリリースしており、より優れた蛍光ナビゲーション・サージェリー実現に向けて、知恵を絞っている。

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July 30, 2020 at 12:02PM
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