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武田総務大臣「サブブランド値下げは羊頭狗肉」――メインブランド値下げ要請で「アクションプラン」が台無しに - ITmedia

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「石川温のスマホ業界新聞」

 「多くの利用者が契約しているメインブランドでは新プランが全く発表されていない。これが問題だ」

 武田良太総務相は11月21日、定例記者会見でこう発言した。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年11月21日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 さらに「実質的に負担軽減が進んでいないような結果が出た時には、これまでとは違ったフェーズに変えて、更に一歩踏み込んだアクション・プランを作る準備をいたしておるわけであります」と言及した。

 この発言はあまりにひどすぎる。そもそもメインブランドは、2018年夏の菅義偉官房長官(当時)の「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」という発言以降、各社ともに新しい料金プランを発表し、提供している。「メインブランドでは新プランが発表されていない」は明らかに間違っている。

 さらに問題なのは、総務省で、MNPの手数料無料化やeSIMの普及促進などのアクション・プランを制定し、これから「スイッチング円滑化タスクフォース」という有識者会議を立ち上げ議論していくにも関わらず、総務大臣が「メインブランドも値下げしろ」なんて発言をしたら、国民すべてが「待てばメインブランドで値下げが実現される」と思い込み、誰もサブブランドやMVNOに移行しなくなるだろう。

 武田総務相は自身が肝いりのアクション・プランを台無しにするようなことをなぜ言ってしまったのか。これから意味のない議論をさせられる、スイッチング円滑化タスクフォースに参加する有識者が不憫でならない。

 武田総務相の発言を受けて、その日の午後、インタビュー取材に応じたKDDIの高橋誠社長は「auのフラットレートのユーザーが一定量、UQモバイルの3980円に流れると思う。3980円に魅力があるので、ドコモやソフトバンクのユーザーも来てくれると思う。

こういう循環を生むために、3980円という料金プランを作ったわけだけど、ここの検証はしないといけない。3980円の料金プランを作ったのに、ユーザーがちっともこないというでは、総務大臣もおっしゃっているように機能していないことになる。

そこを検証しないといけないという指摘は正しい。

 ただ、検証もしないまま、メインブランドに新料金プランをいれないのはけしからんというのは、ちょっと話は違うんじゃないかと思う」と反論した。

 確かに、UQモバイルとワイモバイルの新料金プランは発表されただけであり、いまのところ提供されてすらいない。実際にどれだけユーザーに支持されるのか、そっぽ向かれるかの検証作業が必要だろう。

 そもそも、20GBというのは総務省が6ヶ国比較のために出してきた指標であり、あまり意味はない。むしろ、日本が高く見えるよう恣意的に設定された数値である可能性だってあるはずだ。

 今回、武田総務相がサブブランドでの値下げだけでは認めないと発言したことで、苦しい立場に追い込まれたのがNTTドコモではないか。サブブランドを提供してUQモバイルやワイモバイルに追随するだけでは納得してはもらえない。メインブランドで20GBの安い設定をすれば、収益に与える影響は大きく、いつまでたっても「3番手」を脱することはできなくなることも考えられる。

 果たして、NTTドコモがどんな手を打ってくるかが注目といえそうだ。

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