【NQNニューヨーク=戸部実華】23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落した。前日比525ドル05セント(1.9%)安の2万6763ドル13セントで終えた。8月3日以来の安値。朝方は買いが先行したが、主力ハイテク株への売りが強まり、昼前に下げに転じた。景気敏感株も含めた幅広い銘柄が売られ、取引終了にかけて下げ幅を広げた。
主力ハイテク株は9月に入って割高感から下げ局面が続いている。前日は上昇したが、売り圧力は収まっていない。アナリストが投資判断を引き下げたスマートフォンのアップルは4%安、顧客情報管理(CRM)のセールスフォース・ドットコムは5%安だった。前日夕に開いた電池技術を発表するイベントが失望され、電気自動車のテスラは10%安だった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、前日比330.65ポイント(3.0%)安の1万0632.99で終えた。GAFA(グーグル親会社のアルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)が4~6月期決算を一斉に発表した7月30日以来の安値。
ハイテク株に加え、景気敏感株にも売りが広がった。米国で追加経済対策の成立の見通しが立たない中、欧州ではコロナ感染が再拡大し、景気懸念が強まった。石油のシェブロンは5%、航空機のボーイングが4%下げた。アナリストが投資判断を引き下げたクレジットカードのアメリカン・エキスプレス(アメックス)も3%安だった。
市場では「買い材料が見当たらず、売りが売りを呼ぶ展開になった」(スレートストーン・ウェルスのロバート・パブリック氏)との声が聞かれた。機関投資家が運用の参考とするS&P500種株価指数は前日比78.65ポイント(2.4%)安の3236.92で終えた。2日に付けた過去最高値からの下落率が「調整局面入り」を意味する10%に迫ったのも投資家心理を冷やしたようだ。
ダウ平均は朝方は上昇して始まった。22日夕に市場予想を上回る決算を発表したスポーツ用品のナイキが大幅高となり、上げをけん引した。医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が23日、開発中の新型コロナワクチンの臨床試験の最終段階に入ったと発表し、ワクチンの早期普及の期待が高まったのも相場を支えた。
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