金沢２１世紀美術館で開催中の「培広庵（ばいこうあん）コレクション美人画の雪月花」（北國新聞社、一般財団法人石川県芸術文化協会主催）、金沢市の県立美術館の「没後３５年鴨居玲展―静止した刻（とき）」（本社共催）は１日、会期中初めての週末を迎え、にぎわった。全国でコロナ禍の不安が消えない中、心の充電を求めて、両館とも愛好家が途切れなく訪れ、静かに美と向き合う有意義な休日を堪能した。
美人画展は、明治、大正、昭和の作家５４人による秀作７８点が四季になぞらえて並ぶ。来館者は、愁いを帯びた女性の表情や艶麗なうなじ、指先など、繊細な描写に目をこらし、季節の風情も映し込んだ日本独特の美意識を味わった。
「冬」の会場では巨匠、鏑木清方（かぶらききよかた）の「初雪」、弟子の伊東深水（しんすい）の「積雪」と、障子を開けて雪景色を見る美人を描いた作品が並んだ。深水のファンだという村中一美さん（６２）＝能美市＝は「障子の向こうの生活が垣間見えるよう。細かい着物の柄にも色香を感じた」と感激していた。
金沢市出身の洋画家・鴨居玲の没後３５年を記念した鴨居玲展では、初期から晩年にかけての１０１点が展示されている。来館者は醜怪な老人や酔っぱらい、道化師などを題材に、人間の弱さ、醜さ、生きる苦しさをさらけ出すように描いた作品群に見入った。
前回の没後３０年展に続き訪れた貫井正也さん（６１）＝金沢市＝は「突き抜けるほどの暗さが、かえって救いになる」と鴨居作品の魅力を語り、「コロナでイベントが軒並み中止になっているが、今日はゆっくり美術鑑賞できて良かった」と話した。
入場料は美人画展が一般１２００円、中高生８００円、小学生６００円。鴨居玲展は一般１千円、大学生８００円、高校生以下無料。いずれの展覧会とも３０日まで。
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August 01, 2020 at 12:15PM
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