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ＮＰＯ法人「日越ともいき支援会」が拠点を置く寺で体を休めるロイさん |
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東京都内でアルバイト生活をしていた元留学生のベトナム人男性が、東京都港区の病院で心臓手術を受け、一命を取り留めた。健康保険もお金もなく、別の病院から退院を余儀なくされた直後、生死の境をさまよった。救われた命が、外国人を生活困窮に陥れる留学や技能実習の実態に疑問を投げかける。（大野孝志）
◆「ビジネス勉強するために来た」
十六日、フォアン・ティエ・ロイさん（２９）は自分で歩いて退院した。血色は良く、笑顔で語る。「少し息苦しいけど、だいぶ良くなった。ビジネスを勉強するために来ました。今はベトナムに早く帰りたい。かかったお金全部は難しいけど、少しずつでも払いたい。助けてくれてありがとう」
五年前に来日し、日本語学校で学んだ後、都内の大学に入った。この大学から多くの留学生が失踪した影響で、ビザを更新できなかった。母国を出る際に借りた渡航費や学費を返済しなければならず、友人宅に身を寄せ、都内のコンビニでアルバイトを続けていた。
二月下旬に倒れ、友人が救急車を呼んだ。重度の呼吸困難と心不全の症状だった。搬送された新宿区内の病院で「先天性修正大血管転位」と診断された。心臓の右心室と左心室が生まれつき入れ替わり、心臓内の血液が逆流する。心臓の弁を人工弁に換える必要があった。だが、不法滞在だったロイさんには健康保険もお金もない。入院し、投薬で症状を抑えていた。
◆治療費を払ってもらわないと…
三月になって、ロイさんと友人が、在日ベトナム人らの支援を続けているＮＰＯ法人「日越ともいき支援会」代表で尼僧の吉水慈豊さん（５０）に苦境を知らせた。面会した吉水さんに医師は「今なら退院できる。治療費を払ってもらわないと、これ以上入院させられない」と言った。
吉水さんは出入国在留管理庁に届けた上で、支援会の拠点でロイさんを保護した。が、その夜に再び倒れ、救急車で近くの済生会中央病院へ。酸素吸入が必要になり、帰国も断念した。
執刀医で心臓血管外科部長の大坪諭さん（５７）が振り返る。「医療費はおそらく払えない。でも状態は悪く、生きるか死ぬかの瀬戸際だった。手術するしかないと思った」。病院長や事務長に相談し、「お金のことは病院に任せて、治療に専念を」との判断が出た。
◆手術しなければ30代で亡くなる
「手術しなければ、三十代で亡くなる。合併症が多いので、日本では子どものうちに手術する」と大坪さん。貧しい農村に生まれたロイさんは日本で倒れるまで、自分が病気を抱えていることを知らなかった。
四月六日、四時間半の手術が無事終了。一週間後に再び手術し、ペースメーカーを入れた。根本的に治すには心臓移植しかない。ただ、薬を飲めば、ベトナムで日常生活を送れる状態にまで回復した。
約六百万円の費用は病院側が負担した。大坪さんは「済生会は社会福祉法人で、生活が苦しい人に無料低額診療をするよう法律で定められている。若く将来があるロイさんが元気になって良かった」と語る。
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吉水さんは「手術を受けられないだろうと思っていたので、感激した」と語る一方で懸念もある。コロナ禍の今、働き口を失い、困窮する外国人が増えている。病気になっても、ロイさんのように助けてくれる病院が見つかるとは限らない。吉水さんは「日本側の都合で外国人を受け入れ、外国人の都合を考えずに切る。借金して入国しているから、失踪してまで働く必要に迫られる。この実態を放置すれば、命にかかわる問題になる」と訴えた。 |
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吉水さんは「手術を受けられないだろうと思っていたので、感激した」と語る一方で懸念もある。コロナ禍の今、働き口を失い、困窮する外国人が増えている。病気になっても、ロイさんのように助けてくれる病院が見つかるとは限らない。吉水さんは「日本側の都合で外国人を受け入れ、外国人の都合を考えずに切る。借金して入国しているから、失踪してまで働く必要に迫られる。この実態を放置すれば、命にかかわる問題になる」と訴えた。
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May 20, 2020 at 09:20AM
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借金し来日、保険もなし 日本の都合に左右 心臓手術の元技能実習生:社会(TOKYO Web) - 東京新聞
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