密着・猫の島の一斉手術(下)
このまま島に猫が増え続ければ、世話ができなくなる-。昨年秋、15人の島民と約100匹の猫が暮らす大分県佐伯市の離島「深島」で、避妊のための一斉手術が実施された。捕獲(Trap)し、不妊手術(Neuter)を施し、再び放す(Return)の「TNR」の活動に密着した。(押川知美)
昨年11月6日、手術計画2日目の朝。前日ボランティアらに捕獲され、1匹ずつケージに入れられた猫たちが、不安そうに鳴いていた。ケージには各猫の「カルテ」が添えてあり、抗生物質の投与状況などのチェック項目がある。
深島の猫には、すべて名前が付いている。島唯一の民宿を営み、猫の世話もボランティアで行う安部あずみさん(31)が、多くの猫の名付け親だ。
「目元や鼻が少しずつ違う。体はでかいのに甘えん坊だったり、1匹でいるのが好きだったり。性格も違って面白い」と安部さん。島民や観光客に愛着を持ってもらうために、すべて名前で呼んでいる。
手術室は15畳ほどの集会場の一室。実施する公益財団法人「どうぶつ基金」(兵庫県)のメンバーが折りたたみの長机を重ねて高さを調整し、即席の手術台にした。
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手術には大分県内の獣医師2人とボランティアも加わり、約50人による流れ作業になった。(1)獣医師が麻酔をかける(2)猫の腹の毛をそる(3)耳をV字にカットし、手術済みの印をつける(4)開腹し処置をする(5)縫合し、体に付いた血などを拭く-。
麻酔の注射をすると、不安そうに鳴いていた猫が静かに眠った。開腹手術は雄が数分、雌でも10~15分ほどで終了。傷はわずか3~5センチ程度だ。
どうぶつ基金顧問の獣医師、山口武雄さんは「家猫なら傷が大きくてもゆっくり治せるが、動き回る地域猫は違う。負担が少ないよう、開腹は極力小さくするよう心がけている」。もちろん簡単な技術ではない。
術後、まるで人形のように眠り続ける猫たちは50メートルほど離れた「老人憩の家」で一晩経過をみる。獣医師たちは一日中立ちっぱなし。約7時間かけ、子猫を除く68匹の手術をこなした。
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翌日午前8時。「憩の家」で麻酔から目を覚ました猫たちが一斉に鳴きだした。
島の中心部の広場に、ケージを一つずつ並べ、午前9時20分、一斉にふたを開けた。
一目散に駆け出す猫、恐る恐るはいつくばるように一歩ずつ進む猫、互いの無事を確かめるように体をなめ合う猫…。それぞれ性格や個性が出るのが面白い。松下ヒサコさん(87)は「猫を見に来た観光客が喜んでくれるのが、うれしかね」と目を細めた。
どうぶつ基金によると、別の島ではTNRを実施後に島外から手術していない猫が持ち込まれたり、地域猫運動に反発する住民が猫を虐待したりするなどのトラブルもあったという。猫をきっかけに観光客が増えてきた深島でも、こういった事が今後起こらないとは限らない。
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今年3月下旬、どうぶつ基金が連係する獣医師2人が、再び深島を訪問した。前回は小さすぎて処置できなかった子猫8匹を手術する目的だ。昨秋捕獲できなかった2匹の雄にも施術。ついに島のすべての猫が避妊去勢手術を終えた。
「TNRは終わりではなくスタート。これから島全体で猫たちをどう守っていくかが重要」と安部さんは話す。
耳をV字にカットした猫はその形から「さくらねこ」と呼ばれる。猫と人の共生へ、大きな一歩を踏み出した小さな島は今、桜が満開だ。
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April 07, 2020 at 08:30AM
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猫90匹、未来のために”一斉手術” 大分の離島の3日間 - 西日本新聞
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