頻尿や尿漏れ…前立腺肥大症と診断 手術はするべき? - asahi.com

【答える人】佐藤雄二郎さん　日本赤十字社医療センター泌尿器科医師

　72歳男性。2年前から頻尿、尿漏れ、排尿困難の症状が出て前立腺肥大症と診断されました。服薬治療中ですが、主治医からは「前立腺が極めて肥大している。手術をすれば生活の質はより改善する」と言われました。手術する際の留意点を教えてください。（三重県・A）

　Q　前立腺肥大症とは。

　A　前立腺は膀胱（ぼうこう）の下で尿道を取り巻いている男性特有の臓器です。その前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。加齢とともに徐々に進行し、50歳以上の男性に多くみられます。

　Q　原因は何ですか。

　A　ホルモンバランスが崩れることと関係があるとも言われていますが、原因ははっきりわかっていません。

　Q　診断と治療法は。

　A　排尿の頻度や尿の出方、残尿感といった自覚症状を聞き取って確認するとともに、前立腺の大きさや排尿後の膀胱に残る尿の量を超音波検査で測定して診断します。通常は前立腺の緊張をゆるめたり、血流を改善したりする内服薬で治療します。薬の効果が見られない場合に手術を検討することになります。

　Q　どう手術しますか。

　A　手術は大きく分けて、電気メスで肥大した前立腺を少しずつ削り取る「切除術」、電気メスやレーザーで前立腺をくりぬく「核出術」、レーザーを前立腺に照射して高熱で組織を消失させる「蒸散術」の三つがあります。

　Q　それぞれの違いは何ですか。選ぶ際のポイントは。

　A　切除術は最も広く行われている手術ですが、出血しやすいという難点があります。核出術は前立腺を大きく取ることができ再発率が低いと言われていますが、術後に尿失禁になる人もいます。蒸散術は新しい方法で、出血が少なく、血栓予防のために血を固まりにくくする薬を服用している人でもできます。ただし、前立腺が極めて肥大している場合には手術が長時間になるおそれがあります。担当医とよく相談して決めるとよいでしょう。

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